先日東京へ足を運んだ際、三菱一号館美術館で開催されておりました
展覧会【 ヴァロットン -黒と白- 】展を鑑賞して参りました(//▽//)
フェリックス・ヴァロットン(Félix Edouard Vallotton)はスイスの画家です。
現代木版画発展期の重要な人物で、黒一色の革新的な木版画で名声を得ました。
初期のヴァロットン作品は明るいものが多いのですが、パリへ移住した以降は
人間の内面を映し出す表現や男女のもつれ、戦争など暗いテーマが多くなります。
彼の卓越したセンスによる芸術表現は素晴らしく、作品を鑑賞するにつれ彼独特の
世界に引き込まれていきます。
※一部のブースが撮影OKだったのでフォーカスしちゃいました( *´艸`)
ヴァロットン作品の特徴の1つとして、当時のパリ市民のリアルがあります。
華やかな時代を迎えたパリの街を観察し、群集や社会の暗部を露呈する事件等を
皮肉やユーモアを込めて見事に描き出してありました。
作品を鑑賞する中で、私の中で特に印象づいた作品が2点あります。
ヴァロットンが1890年代前半に『 死 』をテーマとして制作した木版画です。
1つ目は【 暗殺 】という作品です。
大変刺激の強いテーマなのですが、作品自体に直接的な表現はありません。
ナイフを持ち振り上げた手、抵抗する腕、乱れたマット、少しだけ開いたドア。
これだけの表現なのですが逆にリアルで食い入るように鑑賞しました。
作品をパッと見ただけで何が起きているのか理解できる表現力(*ΦωΦ)
ヴァロットンの秀でたセンスを感じる作品の1つだと思います。
2つ目は【 自殺 】という作品です。
この作品も間接的に『 死 』が扱われていますが、先の作品とは違って
タイトルが無ければ何が起こっている状況なのか理解できません。
チラッと波間に見える人の頭部(顔?)らしきもの・・・
それを引き上げようとしている作業員。
そしてそれらとは対照的に橋の上から野次馬精神丸出しで見ている群衆。
橋の下と上では全く違う世界が繰り広げられており、社会の歪みを写実的に
表現すると同時に、風刺を込めた作品だと感じました。
ヴァロットンの作品全てを鑑賞した後は不思議な余韻が残りました。
彼の目に映る世界はどんなものだったんだろう?(@_@)
明るい作品とは言い難いもの多数なのですが、また鑑賞したい!と
思わせる中毒性と背徳的な魅力あふれるヴァロットン作品。
皆様、是非!是非とも!鑑賞なさる事をおススメ致します!!
(20221205YK)