三菱一号館美術館にて2月25日~4月9日まで開催されていた
【 芳幾・芳年-国芳門下の2大ライバル 】という浮世絵展。
先日の東京旅行時にじっ・・・・・くりと鑑賞して参りました。

江戸浮世絵界の重要人物・歌川国芳の下で研鑚を積んだ、落合芳幾と月岡芳年。
師の教えを継いだ彼らは良きライバルであり、当時は人気を二分した絵師さんです。
芳幾・芳年は師からそれぞれ異なる面を受け継ぎ独自の描写を発展させています。

< 芳幾について >—————————————————-

 

芳幾は写生を重視し、世相風刺の画題を得意とした国芳を引き継いだと言えます。
落合芳幾は1855年に江戸を襲った大地震の惨状を写した錦絵で名声を得まました。
師である歌川国芳が没した際には弟子を代表して死絵を担当。
明治以降は「東京日日新聞」の創刊に参画して記事を錦絵にしたり
明治8(1875)年創刊「平仮名絵入新聞」に挿絵を描いたりしていた絵師さんです。

< 芳年について >—————————————————-

  

芳年は国芳の武者絵の作風を継承し、ダイナミックな歴史画の分野を開拓しました。
錦絵や挿絵に転向した兄弟子・国芳とは反対に、芳年は生涯浮世絵にこだわり続け
結果として新しい歴史画の境地を開いた絵師さんです。
晩年に描いた多数の作品からは江戸時代回顧の気分が偲ばれるとともに
彼が到達した静かな境地をも示しています。

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今回の展覧会では撮影OKブースが設けられておりました(*^ω^*)
芳年の浮世絵が多数なのに対し芳幾のものは新聞挿絵が多かったのが印象的でした。
その中で私が興味深く鑑賞した作品は芳年のものです。
ダイナミックな描写のもの、静かな描写のもの、彼の素晴らしい世界観を感じられる
作品の一部を紹介させて頂きたいと思います。

 

写真左:芳年武者无類・日本武尊、川上梟師
写真右:芳年武者无類・相模次郎 平将門

どちらも躍動感に溢れ緊張感みなぎる作品です(*ΦωΦ)
彼は日本の歴史的な英雄を描き、大胆な構図や人物のアングルなど
独特の配色により新感覚の武者絵に仕上がっています。

 

◆藤原保昌月下弄笛図

笛の名手・藤原保昌が月夜に笛を奏でながら歩いている処に盗賊が付け狙うのですが
一分の隙も見せない保昌をとうとう襲う事が出来なかったというお話です(; ・`д・´)
芳年の作品の中でも屈指のもので派手な表現は一切なく色調は抑えられています。
保昌の圧倒的な存在感が巧みに表現され、静寂と緊張感に包まれている作品でした。

◆月百姿 雨後の山月 時致

日本三大仇討のひとつ、曽我の仇討。その曽我兄弟の弟・曽我五郎時致。
父の仇を討ちに向かう最後の暁の場面を描いたものです。
殺戮が繰り広げられる前の静かな光景で、太刀を抜き空を見上げた時
雲間から月が見え一羽の鳥が羽ばたいている描写です。
静かな中にも覚悟を決めた心情が伺えました。

数多くの展覧会を開催してきた三菱一号館美術館。
40展目となるこの展覧会をを最後に設備入替および建物メンテナンスのため休館。
2024年秋頃の再開館となる為、長期休館前ラストに相応しい展覧会でした!
今暫くは図録を眺めながら芳幾と芳年の作品を楽しみつつ、三菱一号美術館の
リニューアルOPENを心待ちにしたいと思います:;*(人´∀`)♪

(20230417YK)