エゴン・シーレは1890年6月に生まれ、世紀末を経て芸術の爛熟期を迎えた
ウィーンに生き、28年という短い生涯を駆け抜けた天才画家です。
そのエゴン・シーレの展覧会が1/26~4/9迄の期間、東京都美術館で開催され
30年ぶりに日本で50点もの作品が展示されました!

 

シーレは最年少でウィーンの美術学校に入学するも、保守的な教育に満足せず退学し、
若い仲間たちと新たな芸術集団を立ち上げます。その当時の常識にとらわれない
創作活動により逮捕されるなど生涯は波乱に満ちたものでした。
彼の作品はその人生を表すかのような表現豊かな線描と不安定なフォルム、
鮮烈な色彩、時には暴力的なまでの人間の生々しい内面を描き出しています。

この展覧会にも撮影OKブースが設けられており素晴らしい作品が沢山ありました!
その作品の一部を感想交えて紹介させて頂きたいと思います(*^ω^*)

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◆モルダウ河畔のクルマウ(小さな街Ⅳ)

クルマウ(現チェコのチェスキー・クルムロフ)はシーレの母親の故郷です。
この作品はクルマウの街並みとモルダウ川が高い視点から捉えられており
ひしめく家々は平面的描かれていてとても面白いと感じました。
小さな窓、アーチのある壁、帽子のような屋根。
構図や色彩にリズムがあり、おとぎの国のような雰囲気が漂っていて
中世の風景を思わせる風情がありました(*´∀`*)

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◆吹き荒れる風の中の秋の木(冬の木)

灰色の空をバックに風に吹きさらされ、大きくしなる枯れ木。
むき出しの木からは孤独を感じますが、それに対し細く四方八方に伸びる枝は
まるで人間の神経系のようで生命力を感じました(*ΦωΦ)
じっくり鑑賞していると木が人間のように思え、とても不思議な感覚でした。

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◆荷造り部屋

1914年の第一次世界大戦勃発後、軍に召集されたシーレが兵役中に描いた作品。
シーレの表現は画業の後半に進むにつれ写実的な自然主義表現へと転じます。
床に置かれた籠やテーブル上にある瓶の包装材、瓶などが丹念に描かれており
立体的でリアルな描写に驚かされました(@_@)<スゴイ!

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1918年、第一次世界大戦も終わりに近付いた時、クリムトによるウィーン分離派展で
それまであまり知名度の高くなかったシーレの作品群は一躍注目を集めました。
シーレの絵の価格は上昇し要望を受けて次々と絵の買取依頼が舞い込むように。
同年7月シーレは富裕層の住むエリアにアトリエを構え、成功した画家としての
大きな一歩を踏み出しましたが、妻エーディトが大戦前後に流行していた
スペイン風邪に罹りシーレの子供を宿したまま10月28日に死去。
シーレも同じ病に倒れ10月31日に亡くなりました・・・(。-_-。)

臨終に際してシーレは
「戦いは終わった。もう行かなければならない。
私の絵は世界中の美術館で展示されるべきだ」
と語ったとされています。

独自の絵画を追求し強烈な個性を持つ画風に加え、意図的に捻じ曲げられたポーズの
人物画を多数製作し、見る者に直感的な衝撃を与えるという作風から表現主義の
分野に於いて論じられる事が多い彼の作品。
鑑賞を終えた後も余韻が残り、胸が締め付けられる様な感覚になりました。
いつかレオポルド美術館でシーレの作品全てを鑑賞するのが今の私の夢です(*’ω’*)

皆様も機会があれば一度でも良いので彼の作品を鑑賞してみてください。
ウィーンが生んだ若き天才、エゴン・シーレ。
今回はワタクシ的イチオシの素晴らしい画家を紹介させて頂きました。
皆様、最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました:;*(人´∀`)♪

(20230508YK)